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19980412
源さん
江戸里神楽土師流4代目家元 松本源之助さん
私たちにとって馴染みのうすい「神楽」。読んで字の如く、神を祭るときに奏する舞楽のことを指します。宮中の行事で行われるのを「御神楽」(みかぐら)というのに対し、各地の神社で行う民族的なそれを「里神楽」と言うそうです。今ではほとんど見かけることはなくなりましたが、先日の節分の日、諏訪神社での源さんの御社中の里神楽を見て、とても惹かれるものがあり話しを伺うことになりました。
西日暮里のお宅に伺い過ごすこと約2時間。我々は源さんの噺家真っ青な巧みな話術に、ほとんど口をはさむこともできずただただ腹を抱えて笑うだけなのでした。伺った話は、伝統的な里神楽に行ってきた様々なトライアル(ジャズやパントマイムとのセッション)はもちろんのこと、源さん若かりし頃の放浪記や色事の話しなど。特に笑っちゃったのがお葬式の話しでした。そのくだりを簡単に話すと.... むかしたいそう立派なお葬式があって、喪服を来た源さんと相棒は弔問にでかけます。狙いは焼香後のお清めのお酒と食事。もちろん弔問を受ける側は、源さんを知らないわけで「どちら様?」と訊ねるのです。すると源さん、すかさず「もう、こちらの旦那にはそれはそれはご贔屓をいただきまして」と返事。相手は、うちの旦那はそんなに粋筋のひとだったっけ?と思いつつも故人とつきあいの在った人が来てくれているんだということで、ふるまいをしてしまいます。しばらくして十分堪能した源さんはひとまず帰ります。すると次は一緒に出かけてた仲間とバトンタッチ。先ほどの喪服を着て相棒はいそいそとお葬式にでかけ「こちらの旦那には....」と同じことを繰り返す。罪のない悪さ話であたかも落語みたいですが、本当の話。このような環境で育まれた源さんの芸は年月を経てさらに磨かれていったのです。 |
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源さんの『きつね』は、手の甲をまるめて相方にのばすだけで観た者を納得させる表現力を有します。もちろん狐の面から見た目「狐」であることは明白なのですが、一挙手一動に芸の完成された美しさを感じてしまうのです。自信といいましょうか、悟りといいましょうか。厳しくも常に今を感じさせる稽古で培われてきた芸人の技を間近に見られるうれしさを感じる今回のCHICでした。 | ||
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