やなか chic

 

19980816

奥澤 靜代さん(油絵)

与えられた人生という時間をデッサンして...
「人って単に歳をとれないモノでしょ。それぞれ苦労があったり、楽しいことがあったりしていわゆる歴史があるじゃない。私はね、いままで蓄積してきた歴史を表現してそれをこれからの栄養にしてゆきたい」。それがこの秋、個展を開くことになった理由でした。

奥澤静代さんは小学校の頃絵日記を描くのが楽しくて絵に興味を持ちはじめ、いつも絵の具を手放さないような子どもでした。そして18年前ここ根津に引っ越してきたからは絵がいつもそばにある暮らしになったのです。

今回の個展には、この冬訪れた南仏のVille Franche sur la Merのミモザ溢れる山やかのコクトーが愛したWelcome Hotelからの景色などなどが主に展示されます。「作品はどの題材を選んでも自分自身を反映するでしょう。たとえば人から愛されたいと思ってもその人に愛についてのなにかがなければ、そういう絵にならないと思う。」とおっしゃいます。そういう考え方は自分の中からでてくるものをそのまま表現しようとすることや作為ではなく偶然がもたらす点や線を使うことに結びついています。

静代さんは大きな絵を描くときにでも細かく構図をとりません。時に予期しなかった線ができてしまっても、それを生かして描き続けてゆきます。「今まで自然に逆らっていきてきたけれど、最近はいろんなことが見えるようになってきてね。歳のせいだと思うけど。」自然のなりゆきというのでしょうか、もちろん偶然もまた自然と同じことになるようです。

個展のギャラリーはアートミュージアム銀座。個展をひらくには大きすぎる場所なのだそうです。「でも自分のやりたいことだから、しがらみがあって誰彼に迷惑がかかるわけではないし。自分の全てを思う存分やって失敗したほうが自分にいろんなことが残っていいね。」

いい生き方してますね。いちいち感心してしまうインタビューでした。

個展の予定
アートミュージアム銀座
住所:中央区銀座7-4-12
      外堀通り新橋方面左側
      数寄屋橋交差点から3つめ角
電話:03-3571-2285
日時:10月26日(月)〜11月1日(日)
11:00〜19:00(最終日は16:00まで)
問い合わせ
やなか.com masae@yanaka.com


endou@yanaka.com